印象セリフ
「わたしは、あきらめない」
製作国:日本
製作年:2019年
上映時間:128分
▼予告編▼
はじめに
皆さんは近年の邦画にどんな印象をお持ちだろうか?
最近の邦画は刺激が足りないよねぇ~
なんていう方も少なくはない。
たしかに近年の邦画は
- 製作委員会システムによるスポンサー配慮の無難な作風
- 事務所ごり押しのアイドル起用
- 漫画原作の実写化の繰り返し
によって多くの作品は同じような雰囲気になってしまっている現状。
しかし!!今作は違います。
R18+で公開された韓国映画『ブラインド』を日本版で大胆にリメイクし、
製作会社は『MOZU』や『ダブルフェイス』などハードな作風も作ることで知られる
株式会社ROBOTなので安心安定だ。
近年の邦画の中でも容赦のない描写の数々なのです。
と、いうことで映画館で最初の方に観てきました!(レビュー遅れたけど)
どうも、生まれ変わったら吉岡里穂ちゃんの犬になりたいキミシマムザ裕君です。
早速レビューを!
簡単あらすじ
警察学校の卒業式の夜、過失で弟を事故死させてしまった浜中なつめ。
自身も失明し警察官の道を諦めた彼女は、事故から3年経った現在も弟の死を乗り越えられずにいた。
そんなある日、車の接触事故に遭遇したなつめは、車中から助けを求める少女の声が聞こえてくることに気づき、誘拐事件の可能性を訴える。
視覚以外の感覚から感じ取った“目撃”情報を警察に提示するなつめだったが、警察は目の見えない彼女を目撃者と認めず捜査を打ち切ってしまう…(映画.com一部引用)
感想
五感を揺さぶるサイコスリラー!
そして一人の女性の再生の物語。
これは今年公開邦画の中で今のところ間違いなく個人BESTの傑作。
前述の通り韓国映画らしい容赦のない残酷描写もかなり再現をしてくれて、
背筋も凍るようなシーンの数々と緊迫感あふれるサスペンスフルな展開で体感時間はあっという間だ。
かといってオリジナルをそのままなぞったわけではなく、日本を舞台にすることで違和感を生んでしまう点を上手く変更し、原作者曰く”脚本の50%を変更”することによって我々日本の観客もこの世界に入り込めるような配慮がされている。
もちろんミステリーとしての要素も強く、最後まで犯人が誰かわからないあのドキドキ感は久しぶりに味わえた。
そしてただのサスペンス・スリラーに終わらず、ハンディキャップを抱えて人生に絶望をしていた主人公の再生の物語としても良かった。
実際の視覚障碍者の方々に協力を得ているらしく、盲目の女性が現代社会で生きる上での苦労や現実を上手く映像化出来ておりそちらも素晴らしい。
我々は彼女と共に、聴覚・嗅覚・触覚…五感の全てをフル活用させて鑑賞するべきなのだ。
今作のアイディアは傑作サスペンス映画『セブン』や、
同じく盲目の女性オードリー・ヘップバーンが主演の名作『暗くなるまで待って』
などから着想を得ているのだろうなぁと思ったので、まだ未見の方は是非そちらも鑑賞して欲しい。
キャスト
吉岡里穂
もうグラビアアイドルとは言わせません。
いつものあの屈託のない笑顔を封印した難しい役柄を見事に演じ切った。
焦点の合わない目の演技や、ハードなアクションなど初の試みがてんこ盛りだったことだろう。
そして何よりハンデを抱え、脆くなりながらも見せる”芯の強さ”を感じてとても魅力が溢れていた。
ただやっぱり元がめちゃくちゃ可愛いので、無意識に行う動作に可愛いが溢れてる。
とある女子高生に
「写真撮ってもいいですか?♬(犬を)」
と頼まれた時に照れ笑いしながら髪の毛を直すシーンが尊すぎます。
盲導犬のパルとの絆も良かったです。僕もパルになりたかったです。
高杉真宙
他人に無関心なイマドキ高校生を売れっ子の彼が演じる。
スケボーの演技は本人がやったらしく撮影の合間はずっと練習していたらしい。
普段よりも更に声を落として作風に合わせた役柄をこなしていてさすがの一言。
彼は今後ももっと売れていくのでしょう…(遠い目)
その他
他にも左から定年間際のベテラン刑事をタグチトモロヲ
やる気はないけどやるときはやる刑事を大倉孝二
画面に映るだけで気が引き締まる、引退した元刑事を國村隼
などなど脇役が相変わらずいい味を出していた。
何故か盲導犬役を演じたパル(混合しないように役名と一緒)は大倉さんに滅茶苦茶なついたらしいです(笑)
まとめ
『見えない目撃者』
この邦題はとても好きで、鑑賞前は矛盾を孕んだこのタイトルが何を意味するのか考えるも楽しいし、鑑賞後はもちろん主人公と事件のことを表しているのことがわかる。
ただもっといえばこの事件を第三者視点でずっと見ているけど、当事者たちからは絶対に”見えない目撃者”がいる。
それが視聴者である我々なんじゃないだろうか。
なーんて考えるのもたのしいよね。
日本映画界がスポンサーやアイドル事務所を気にせず、
こういった良質な映画を評価して、それが売れていく時代になるといいなぁ~。
今作がそのきっかけとなってくれるといいな、なんて思うほど好きな映画だった。
あ、でもグロが苦手な人はお気を付けください(笑)
こんな人にオススメ
- 刺激的な邦画が観たい方
- 吉岡里穂のファン
- サイコスリラーが好きな方
おあとがよろしいようで…