印象セリフ
「金を使うことは本能だ…」
製作国:イギリス
製作年:2019年
上映時間:221分
▼予告編▼
はじめに
皆さんははナショナルシアターライブをご存知だろうか?
英国の代表的な国立劇場ロイヤルナショナルシアターが行っている企画で、
衛星中継で上演を世界中の映画館に上映するという素敵な企画である。
いわば舞台のライブビューイング!
わざわざイギリスの劇場に行かなくても世界中で最高峰の演劇を映画館で観れるのだ!
そして今作はそんなナショナルシアターライブの中でも興味深い一作。
2008年に起きた”リーマンショック”を起こしたリーマン一家の物語なのだ!
しかも監督は『1917 命をかけた戦い』のワンカット”風”で話題を呼んでいる
サム・メンデス!
一応元経済学部だし、映画オタクとしては見とくしかないよね!!
ということでギリギリ映画館で観てきました!
どうもこれをきっかけに英国舞台にハマりそうなミーハー、キミシマムザ裕君です。
早速レビューを!
超・簡単あらすじ
1844年から、2008年にリーマン・ショックが起こるまで、3世代にわたるリーマン家の栄光と衰退を描く…(映画.com引用)
感想
アメリカでの成功を夢見た3兄弟
掴んだ夢と失ったもの…
とんでもなく壮大な興亡を見た…
リーマンブラザースが何故2008年に破綻してしまったのかという部分に関しては大学での勉強や『マネーショート』で勉強しなおしたのでまぁまぁ知識があったのだが、
今作はその経済の専門的な知識は一切いらない。
いかにして経済破綻が起きたかというよりは、リーマン家がドイツから渡米してきていかに成功してそして落ちていくかという家族ドラマを描くのである。
そのため特にアメリカ経済を予習して、知識武装する必要はないのでご安心を。
※もちろん知っていた方がより楽しめるとは思います。
舞台について
そしてそんな壮大な物語を全く舞台装置を変えずにたった一つ大きな箱で再現してしまう発想と技術力に驚いた。
↑上の会議室のような大きな透明の箱が回転することで舞台の移動を再現するのだ。
もちろん小道具などは会議室内にある椅子・机・箱などのみ。
残りは役者の表現力と観客の想像力に委ねられるという自由さ!
しかしそれがしっかり伝わってくる!!
オフィスにいるはずが田舎町に!工場に!葬式場に見えてくる!
こ、これが本場の演劇なのか…。
音楽について
監督が「この作品の第4の語り手だ」とも明言している音楽を担当するピアノ。
なんとBGMは全て一つのピアノの生演奏で補っているのだ。
役者3名とピアノ1名しかいないなんて責めすぎ!
そのため3名の演技やアドリブを見ながら合わせていくという離れ業を行いつつ、
作品の雰囲気をしっかり作っていくという見事な仕事っぷりだった。
キャスト
これぞ、本当の演技。
今作は3世代にわたる壮大な物語なので、もちろんかなりの数の登場人物が出てくる。
しかし驚くことなかれ、その数のキャラクターをたった3名の役者が演じ分けているのだ。
0歳の赤子から老人まで、男性も女性も、細かい表情や仕草で演じ分ける技はもう達人の域!!そうか、これを演技っていうんだね…。
サイモン・ラッセル・ビール
↓配役↓
- 渡米一代目長男:ヘンリー・リーマン
- 渡米一代目三男の妻:パペット・ニューガス
- 渡米二代目長男:フィリップ・リーマン
- 渡米三代目の妻:ルース・ラムジー
- 三代目の後継者:ピーター・ピーターソン
他にも諸々サブキャラ…
1番役の振り幅の大きかったのがサイモンさんでしょう。
映画界隈ではあまり聞いたことがなかったが、英国舞台の世界ではかなり有名らしく、シェイクスピアのリア王をやったりと実績もある。
髭もじゃもじゃで恰幅の良い方なので中年男性の役柄が上手いのは当たり前のことなのだが、初々しい乙女を演じたり、生意気な子供を演じたりしてるうちに髭もじゃのおじさんではなくその役柄に見えてるのだ!すげぇ!
一番好きだった役は2代目フィリップかな?
ベン・マイルズ
↓配役↓
- 渡米一代目次男:エマニュエル・リーマン
- 渡米二代目政治家:ハーバード・リーマン
- 三代目の後継者:ルイス・グラックスマン
その他諸々のサブキャラ…
子供や女性という彼の見た目からかけ離れた役は敢えてやらなかったようだが、1番存在感とかっこよさが目立っていたのは彼だろう。
そして1番大往生だった1代目次男エマニュエルの精神的苦悩など内面を見せなくてはいけないシーンも多かったので大変だったでしょう。
アダム・ゴドリー
↓配役↓
- 渡米一代目三男:マイヤー・リーマン
- 渡米一代目次男の妻:ポーリーン・ソンドハイム
- 渡米3代目:ロバート・ボビー・リーマン
その他諸々のサブキャラ…
この方は演劇界だけでなく映画界でもたまに見ていた。『チャーリーとチョコレート工場』なんかに出てましたね。
彼も1代目三男マイヤーのような少し頼りなさそうな末っ子キャラから強気な女性、そして生まれたての赤ん坊まで幅広く演じていてさすがだった。。。
あ、壊れたラジオの役もやってたね(笑)
まとめ
演劇って長いし、舞台に見に行かないと行けないからちょっと億劫…
そんな風に思っていた自分をぶっ飛ばしたいくらい衝撃を受けたのが今作。
そして、ナショナルシアターライブのおかげで全国どこにいても世界最高峰レベルの演劇が観れるようになっているので感謝したい。
これは毎年映画館でみて、いずれロンドンで生を見るぞ!!
こんな人にオススメ
- 英国演劇を見てみたい方
- リーマンブラザーズに興味のある方
- サム・メンデスのファン
おあとがよろしいようで…