印象セリフ
「一緒に歴史を塗り替えないか?」
製作国:アメリカ
製作年:2019年
上映時間:209分!!
▼予告編▼
はじめに
皆さんはマーティン・スコセッシ監督をご存じだろうか?
『タクシードライバー』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』等数々の名作を作り上げてきた映画監督で、主に裏社会に生きる男を描くのが大得意だ。
そんな彼は気に入った俳優を主演に使いまくる傾向があり、その中でも特にロバート・デ・ニーロとはとにかく仲良しで短編も含めたら一緒に9作も撮っているのだ!
そんな彼らが「やり残した仕事」として20年ぶりに長編映画を一緒に製作したのが今作!
資金調達やキャスティングの難航を我々ファンは数年間見守ってやっとこさ完成!!
そう、映画製作者たちの駆け込み寺ことNETFLIX様が助けてくれたのだ!
きっとどこの会社ももこのおじさん受けしかしなそうな題材で製作費を出してくれなかったのでしょう…ありがとうネトフリ!
ということでそんな題材が大好きなおじさんである僕は一足先に東京国際映画祭で映画館鑑賞してきました!!!
どうも、デニーロの映画というだけで80本以上見ている筋金入りのデニーロオタク
キミシマムザ裕君です。
早速レビューを!
簡単あらすじ
裏社会のボスに長年仕えてきた殺し屋フランクが、秘密と暴力にまみれた自らの半生を振り返る…(NETFLIX引用)
感想
裏社会を生きた男が振り返る激動の人生。
スコセッシ×デニーロ映画の集大成。
期待通りの傑作。いや期待以上に大好きな作品だった。
第二次世界大戦後のアメリカの闇を暗躍した一人の殺し屋が、政治家・ギャングのファミリーなどと協力しながら逞しく一生を生きていくのをたったの3時間半にギュッと詰め込んだ一作だ。
血の繋がり以上に深い、男たちの絆や裏社会の掟を重んじて生きていき、そしてそれに振り回されていく。
この内容なら3時間と言わずにドラマシリーズにして何シーズンも観たいところだが映画にこだわったのもスコセッシならではなのかもしれない。
原作はチャールズ・ブラントが2004年に発表したノンフィクション作品『I Heard You Paint Houses』
そう、こんな嘘のような劇的な人生は多少の脚色があれど全て実話というのが恐ろしいところだ。
あとはおじいちゃん達を若返らせるCG技術がかなり進歩しており、
各キャラクターの青年期~老年期までをほとんど違和感なく観れて素晴らしかった。
監督:マーティンス・コセッシ
彼出なかったらこの豪華キャストとこの重厚な題材を映画化を実現することはできなかったでしょう。
今作も彼の監督作品の多くの特徴である
- 主人公のナレーションで始まる
- 舞台がニューヨーク
- ギャングが題材
- 長回しシーン
- 役者たちのアドリブセリフ
等々が顕著に出ているのでファンにはたまらないシーンが溢れている!
最近話題になった彼の発言である

MARVEL作品は真の映画じゃない(要約)
という発言の真意は既にインタビューなどで説明されているが、
▼THE RIVER記事貼り付け▼
【マーティン・スコセッシ「マーベル映画はテーマパーク」発言の真意を語る ─ 「新しい芸術の形」と評価も、業界や文化の現状に危機感示す】
https://theriver.jp/scorsese-marvel-comment/
やはりこういった映画を昔ながらのスタジオが作らせてくれない現状を憂慮しているのだろう。
70年代から活躍する彼から観た現在の映画業界ははたしてどういう風に見えているのだろうか。
キャスト
とにかく役者陣の豪華共演が素晴らしい!!
そして主演のデニーロと共演者の背景を知っているとかなり胸アツになれる。
今作は何の続編でもないので単体でも楽しめるが、
あとで紹介する作品を鑑賞してからだとより感情移入を出来るかもしれない!
ロバート・デニーロ
今作ではスコセッシと共に製作もしており、彼のライフワークと言えるだろう。
スコセッシと共に撮ってきた作品は常に一人の男の人生を映してきた。
今作でも第二次世界大戦に従事していた青年時代から、車椅子じゃないと移動も出来ない晩年まで
CG加工と素晴らしい演技力で演じ切った。
『ワンスアポンアタイムインアメリカ』を彷彿とさせる人生の演技を見る事が出来ファンは感涙。
あとどうでもいいポイントだけ今作の銃の撃ち方が可愛いのでそこも合わせて観てもらいたい(笑)
アル・パチーノ
【デニーロとの共演作品数:3】
昔からデニーロと好敵手・宿敵として常に比べられていた名優。
一時期は不仲説もあったりとしたのだが、実は昔から仲良しでお互いを高め合う関係だったんだとか。なにその可愛いエピソード(笑)
なかなかもったいぶって前半出てこないので、もしかして友情出演レベルなのかと思いきや中盤から圧倒的存在感!!
ジミー・ホッファというパワフルでエネルギッシュな人間を見事に演じていた。
やはりパチーノは口うるさく目ん玉ひん剥いてギャーギャー言ってる演技が鬼気迫っていて最高。
あととにかくデニーロといちゃいちゃしまくるシーンが多いのでファンはたまりません。
ジョー・ペシ
【デニーロとの共演作品数:7】
デニーロとは同じ年でのプライベートでの親友でありペシ兄さん。
兄弟の役や相棒の役が多かったが、今作ではデニーロのボスの役回りなのでちょっと違和感があったがさすがの演技。
ほとんど映画界を引退している彼が出演した理由は間違いなく親友からのオファーなんだろうな〜。
デニーロが監督した『グッドシェパード』でも8年振りだったし今作もほとんどそれ以来じゃないだろうか?熱い友情だ。
ただ今までの作品で意味もなくブチギレる役が多すぎたせいで、
今作でもいつ怒鳴りだすのかビクビクしながら観ていたけど、
逆に無表情で人を殺す命令を下せる恐ろしいタイプだったので怖い。
ハーヴェイ・カイテル
【デニーロとの共演作品数:7】
デニーロと親友はペシな印象だが、彼の兄貴分といえばこのカイテル。(後述)
出演時間はそこまで多くないものの、テーブルで向かいに座った時の威圧感と渋い魅力が大爆発している。もう座ってるだけでかっこいい。最高です。
その他


何を予習すれば楽しめる?
映画界でも”ベストコンビ”として名高いスコセッシ×デニーロの二人だが、
今作も含めて短編込みで全10作も作品を撮っている!!
しかもアルパチ×デニーロの関係やらジョーペシ、ハーヴェイとの共演も沢山!
もうさすがに全部見るのは大変!
ということで、今作を観るにあたって観ておくとより楽しめるであろう作品を各キャストとの共演作品から3つ(+α)だけ紹介しよう!
『グッドフェローズ』(1990年)
監督:マーティン・スコセッシ
【作品紹介】
小さい頃からギャングになりたかった男が踏み入れた裏社会。
ギャング成り上がり物語として最高な作品。
デニーロはその主人公の人生の先輩的なギャングスタとしてめちゃくちゃかっこよく出演している。
そして今作も出演しているジョー・ペシはとんでもない”ブチギレ”演技でアカデミー助演男優賞を受賞しており恐ろしいのでそちらも合わせて是非チック!
今作の主演だったレイ・リオッタも『アイリッシュマン』に出演するかもという噂があったので残念だ。
ついでに1995年公開『カジノ』もデニーロとペシが似たような関係なので時間があれば合わせて是非!
『ヒート』(1999年)
監督:マイケル・マン
【作品紹介】
私生活をないがしろにしてでも捜査のためには手段を厭わない凄腕の刑事と、自分の流儀を貫くプロの強盗。対極にいる天才二人がお互いを認め合いながらも戦うという男なら誰しもアツくなる設定と、監督による実弾の音を使ったリアルな銃撃戦など楽しめる!
ただ今作でのパチーノとデニーロは見方によっては共演シーンが一緒に映ってないので、この二人が撮影をしていないんじゃないかという噂が流れるキッカケとなったのだ。それでも『ゴッドファーザー PART2』でも実際の共演シーンがなかった二人の夢の共演だったので当時のファンは歓喜したに違いない!
ちなみに2008年にもう一度共演している『ボーダー』ではお互いを褒め合うベテラン刑事コンビをやっているので二人の微笑ましい絡みを観たければそちらも合わせて是非
『ミーンストリート』(1973年)
監督:マーティン・スコセッシ
【作品紹介】
三流ヤクザの主人公が何かと破滅的な行動ばかりをとってしまう親友をかばっているうちにどんどん二人とも追い詰められていく…というストーリー。
正直作品としては他の名作と比べるとまだ粗い部分がある気がするが、
スコセッシ監督初期の出世作にしてデニーロを見出した出会いの作品でもあるのだ。
そしてそれまでは今作の主演でもあるハーヴェイ・カイテルと結構仕事していたスコセッシはデニーロにベタぼれになってしまうし、作品の評価としても助演のデニーロが注目されてしまうしとカイテル的には少し切ない作品…という意味でこの兄貴分のためにも是非ご覧頂きたい!(笑)
そしてその後『タクシードライバー』(1776)では主演がデニーロで、
カイテルは変なポン引き役でも出ているので合わせてどうぞ。
まとめ
自分が数年間待ち続けていた夢のような映画。
ラストは圧巻。スコセッシならでは。
きっと年齢的にも彼らが現役で全員揃って映画を撮る機会はもう二度とないだろう。
そんなに二度と来ない奇跡のような今作を莫大な製作費を掛けて製作することを許可したNETFLIXには感謝しかないし、最終的に劇場公開の判断をしてくれた各配給関係各社にも頭が上がりません。僕は一体誰目線で話しているんでしょう(笑)
是非、映画館でご覧ください。
11月15日㈮から一部日本でも劇場公開してます!
こんな人にオススメ
- ギャング映画好きな方
- マーティン・スコセッシのファン
- ロバート・デ・ニーロと愉快な仲間たちを観たい方
おあとがよろしいようで…