印象セリフ
「俺の人生は喜劇だ」
製作国:アメリカ
製作年:2019年
上映時間:121分
▼予告編▼
映画『ジョーカー』本予告【HD】2019年10月4日(金)公開
はじめに
公開前から世間を賑わしている怪作『ジョーカー』
ヴェネチア国際映画祭では最高賞の金獅子賞を獲得し、
アカデミーもなにかしらの賞が絡むこと間違いなしという前評判。
そんな期待大の作品をまだオープンしてない丸の内ピカデリーのドルビーシネマで見れるという贅沢な試写会に参加できました!ありがとうFilmarks !
そりゃ見るしかないでしょ!!
ということで公開前に見てきました。
どうも、ジョーカーはジャレッド・レト版も割とすきなキミシマムザ裕君です。
早速レビューを!
(ネタバレはちゃんと非表示になってます)
簡単あらすじ
都会で大道芸人として暮らしていた孤独な男アーサー・フレックが、
やがて狂気的な悪の存在・ジョーカーに変貌していく・・・(Wikipedia)
感想
狂っているのは俺か?
それともこの世の中か?
なんだこれ・・・とんでもない傑作。
その名の通り、ただの道化が犯罪のカリスマ、ジョーカーになる物語。
アメコミ映画の枠をある意味超えた新しいジャンルの作品が生まれた。
70年代後期から80年代に掛けての映画でよく見られる、キャラ1人の人物像を掘り下げていくという様式を使い主人公の内面を掘って掘って掘りまくる。
マーティン・スコセッシ監督の映画にかなり影響されてることは言うまでもないが、
制作にスコセッシ組のエマ・ティリンガー・コスコフが参加しているのも大きく、
作風はかなり近いものを感じた。
またアイスランドの音楽家ヨハン・ヨハンソン氏の弟子であるヒドゥル・グドナドッティルが担当した音楽も非常にセンス良く、不気味に今作の雰囲気を無理やり明るくしていた。
Jimmy Durante - Smile | Joker OST
特に予告編でも使われていた”Smile”が皮肉なほどハッピーで明るい曲調なのがたまらない。
今作の監督がトッド・フィリップスだと聞くと映画好きは少し驚くかもしれない。
彼は『ハングオーバー』シリーズ等コメディ映画の監督を主にしていたのでこの振り幅が凄いのだ。
まぁ、でも今作もいうならば、喜劇。ある人曰く、
人を泣かせるよりも、怖がらせるよりも、1番難しいのは笑わせることらしい。
予習は必要なの?
前知識は特に必要ないだろう。
そもそもジョーカーて誰やねんって方はそんなに居ないと思うが、
一応バットマンのヴィランとしての情報は軽く頭に入れて置いてもいいかもしれない。
とにかくむかーしから特殊能力を持たない最強の悪役として君臨してきたキャラだ。
最近のアメコミ映画には珍しく、クロスオーバーもしてなければ予習のために数十作品を見なくても良い。
(それもネタバレだと思う方は飛ばし読みして下さい。)
1.マーティン・スコセッシ監督作品
- 『レイジングブル』(1980)
- 『タクシードライバー』(1976)
- 『キングオブコメディ』(1983)
舞台も一応ゴッサムシティとなっているが、この時代のニューヨークを意識しまくっている(というか撮影ニューヨーク)のでそこら辺にも注目して頂きたい。
2.カッコーの巣の上で
ジャック・ニコルソン主演のアメリカン・ニューシネマで、
アカデミー賞主要5部門全て受賞しているというとんでもない映画。
ニューシネマの雰囲気だけでなく、題材が精神病院なのでリンクする部分は多い。
3.ネットワーク(1976)
『12人の怒れる男』等の社会派シドニー・ルメット監督による名作。
TV局で長年ニュース番組のキャスターを務めていた主人公が突然クビを言い渡されたことで少しずつ歯車が狂っていく…というストーリー。
民衆に政治的・社会的な影響を与える一人の男、そして彼が少しずつ狂っていくという傾向は今作と似てる部分が多い。
4.笑う男(1928)
文豪ヴィクトル・ユーゴー原作の1928年サイレント映画。
王の命令によりむりやり笑顔にされてしまった男と盲目の女性のメロドラマ。
原作のジョーカーのキャラデザインの元になっているということもあり、見た目がそっくり!
古い映画なうえ日本語字幕版がのDVD等が存在しないという中々玄人向けな作品ではあるが、今作は監督も意識して作ったというほど影響は強い。
どんな時も笑顔しか作ることが出来ない哀しい男の物語なのである。
5.バットマン:キリングジョーク(2016)
1988年に書かれたジョーカーの起源を描く外伝的な原作を、
2016年にアニメ化して映像となった作品。
ジョーカーの素顔がスタンダップコメディアンだったりする設定がちょっと似ていたりするし、声を担当するのが『スターウォーズ』シリーズでお馴染みの
マーク・ハミルで、彼の演技が素晴らしいので是非!
正気と狂気の境界とはどこにあるのか?
そもそも世界は初めからイカれていて、そこで理性だの秩序だのなんてものを保とうとすること自体が狂気の沙汰なのではないのか?(作中引用)
キャスト
ホアキン・フェニックス
アカデミーの主演男優賞大本命。
愛想笑い・嘘の笑い・心からの笑い
笑い方だけでも何種類も演じ分け、
栄養失調ギリギリの痩せこけた身体と顔でアーサーという男全力で演じる。
彼の一挙一動に目が離せず、漂う緊張感は半端じゃなかった。
ホアキンのキャリア史上1番の演技と言ってもいいだろう・・・。
ロバート・デ・ニーロ
自分の中で一番好きな俳優なだけあってこの配役は嬉しい限り。彼が画に入るだけで箔がつきます。先述したスコセッシ映画を見たあとに彼の役を見ると裏側にある背景などを想像せざるを得ないのである。死ぬまで応援します。
ザジー・ビーツ
『デッドプール2』のラッキーガールドミノが今作でのヒロインに抜擢。
全編比較的暗〜いこの映画の希望の光的な役柄で素敵。
派手すぎない素朴な魅力も今作には合っている。
その他
あとはアーサーのオカンとか刑事さんとかが上手く脇を固めていたが、敢えて登場人物を最小限にすることでよりジョーカー自身に集中させたかったのかもしれない。。。
まとめ
この狂った冷たい世の中で彼のようなカリスマが現実世界に現れたら一体どうなってしまうのだろう。
アメリカでは公開日に警察の警備を強化するという声明が出ているほどだ。
監督自身がこの映画に政治的な要素はないと言っているものの、作り出したものからメッセージを受け取るのは視聴者の方だ。
今日とこの怪作が公開される明日からの世界では、大きくは無いかもしれないが確実に何かが変わってしまうかもしれない。
そんな危険な作品である。
以下感想はネタバレにて
母(義理だったが)の影響で現実と妄想の区別がつかない彼に起きた一連の出来事はどこまでが現実でどこまでが妄想だったのだろう。 支えてくれた彼女とは1度エレベーターで居合わせただけの他人だった。 マレーのショーに昔客として来ていたという記憶は捏造だった。 ならばマレーショーに誘われ、その後起こした公開殺人や街で起こった暴動は現実だったのだろうか? ラスト精神病院らしき場所でいうセリフ 「ジョークを思いついたんだ」 「君には理解できない。」 とニヤついた時に全てを妄想していただけかもしれない。 ただ1つ言えるのは、 彼は確実に幸せそうだった。。。 ⚠️ネタバレ⚠️
こんな人にオススメ
- ジョーカー好き
- アメコミ好き
- 70~80年代映画好き
おあとがよろしいようで…