印象セリフ
「気高く生きるのよ」
製作国:アメリカ・イギリス
製作年:2019年
上映時間:110分
▼予告編▼
はじめに
皆さんはミュージカル『キャッツ』をご存じだろうか?
わりとミュージカルが元だと思われがちだが、原作は
ノーベル文学賞も受賞している詩人T・S・エリオットによる詩集
「キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法」
(原題:The Old Possum's Book of Practical Cats)
詩集ってのが後で大事になってきます。
そしてミュージカルの方も1981年にロンドン、
1982年にNYで公演されて以来ロングランに重ねるロングラン。
2019年時点で7300万人の動員数を誇っている人気さ。
日本の人口が1.3億人だとしても約半分くらいの人がキャッツを見てる計算になる。
めっちゃ見られてるじゃん。
ということで最も成功したミュージカルの一つとしてミュージカルオタク達の中では認識されている作品だ。
まぁ自分も生のブロードウェイを見たことがないので何とも言えないが、
簡単にいうと、
すんごい人気な猫のミュージカル作品。
それが遂に高いお金を掛けて実写映画化!
しかも監督は
- 『レ・ミゼラブル』
- 『英国王スピーチ』
- 『リリーの総て』
で定評がありアカデミー受賞歴もある手堅い仕事人トム・フーパー!
そりゃ見るしかないでしょう!ミュージカル大好きだし!
ということで公開日の午前中に会社をわざわざ遅く出勤にしてみてきました。
どうも、圧倒的犬派だけど猫も嫌いじゃないキミシマムザ裕君です。
早速レビューを!
簡単あらすじ
人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが………(映画.com引用)
感想
玉ねぎ?不浄なポルノ?
二時間の悪夢のような宴がいま始まる!
まず日本人は海外のレビューが盛り上がってるところから今作を見る事になってしまったので、先入観があるのは間違いないだろう。
だって先に出てるレビューが
- 猫たちがホルモンを爆発させている。
- 不浄なポルノ
- 悪夢のような解剖学のレッスン
- ホラーであり、忍耐力テスト
- 猫にとって犬登場以来の最悪の出来事
- この映画を5段階評価で例えるなら…玉ねぎ
とまぁもはや大喜利レベルの酷評。
もちろん興行収入も製作費1億ドルに対して1月3週目時点でまだ半分も回収できてないらしい。監督いいひと層だから首をくくらないでくれよ…。
しかも映画配給会社が自ら”前代未聞” と称す出来事
「公開後にCGIを修正したアップデート版を遅れて公開する」
が発生したりしている。
日本で観れているのはアップデート後なのでその前が観たい・・・。
前置きが長くなったが、そんな中で満を持してみた今作。
先に結論から言うと、
あれ?一部を除いたら…
意外と悪くない??
細かく深堀してみよう。
プロットについて
今作を見るにあたって自分はまず『キャッツ』の舞台版を映像化した作品を鑑賞。
☜これ。
それを見たうえで思ったのは、プロットである。
詩集が原作というだけあって、
ストーリーというストーリーが大きくあるわけではないのだ。
個性的な猫達が集まって、自己紹介を兼ねた歌とダンスを披露する。
それを長老猫のような存在が1番を決める。
1番に選ばれた猫はなんか天上に行ける…。
それだけなのだ。割とカルト。
そして肝心の映画版はというと……ほとんど一緒なのだ。
出てくるキャラの違いや性別の違いなど多少は異なってくるものの、
大筋のプロットは変わらない。
そのため海外レビューでも酷評されていたプロットの部分はそこまでボコボコにするほどではないんじゃないだろうか?
ただ、先述の通り映画の流れが
猫①の自己紹介ソング~猫②の自己紹介ソング~猫③の…
と永遠に続くのでそもそも『キャッツ』のプロットをそのまま劇映画とするのに向いてなかったのかもしれない。
同じ流れで約2時間が続くので何回も時計を見ては
「え?まだ1時間しかたってないの…?」
と戸惑いを隠せないことが多々あったのは確かである(笑)
歌と踊りについて
いやこれに関しては元の歌がいいんだから良いに決まっている!
多分酷評レビューの数々の中でも歌と踊りを貶すものはなかったんじゃないだろうか?
どの曲も個性が溢れて魅力的だったし、ダンスも振り付けなど自体は悪くない。
マキャビティとかラムタムタガーとかもクールな楽曲で良かったし、
予告編でも良く流れている「Memory」も非常にエモーショナルで素晴らしい。
そう、楽曲は悪くないんです…楽曲は…
CGIと世界観について
なんといってもCGIと世界観が問題でしょう。
舞台版のメイクと衣装だけにこだわるか、
去年超実写化で話題になった『ライオンキング』のようにリアル猫ちゃん路線で攻めるかにするべきだったのだ。
中途半端に舞台に近づけた結果が、二足歩行で歩く人型だけど毛並みはリアルな猫、そして顔面は人間という化物じみたビジュアルが完成してしまったのだ…。
そんな化物が激しく歌って踊る。CGで浮いた顔がその動きに必死についてくる。
あれ…なんかこれどこかでみたことがるな…
そうだ…シーマンだ。
そして舞台版になかったトンデモオリジナル要素は…
猫以外もそれでやってしまったのだ…。
是非それは劇場で確かめてもらいたいが…。
自分は気持ち悪すぎて声が出た。
↑世界中を騒然とさせた問題のシーンにモザイクを掛けております(笑)
あとは建物と猫のサイズ感もおかしなことになっていて、
シャフト製作のアニメ作品をみてるようだった。
キャスト🐈
驚くほど豪華なキャストによる素晴らしい演技の数々…
だったのにきっと彼らは黒歴史として刻んでしまうのだろうな…悲しい。
フランチェスカ・ヘイワード
美しい白猫ヴィクトリアを演じる彼女はダンスのキレが半端じゃないと思ったら、
ロンドンのガチガチなバレエダンサー!どおりでプロなわけだ!
歌声も動きの美しさも文句なしでございました。(CGを除く)
ジェニファー・ハドソン
「Memory」を熱唱するグリザベラを演じる彼女の顔のCGが一番違和感あってわらってしまいそうだった。一番シリアスな役なのに勘弁してほしい。
アメリカの超有名オーディション番組『アメリカンアイドル』出身で更に、
ミュージカル映画『ドリームガールズ』のヒロインを勝ち取った実力を持っているのでそのパワフルな歌声は魂に響きます。そしてその顔は夢に出てきます。
レベル・ウィルソン
『ピッチパーフェクト』をきっかけにコメディエンヌとして大活躍中の女性だが、
楽曲シーンとしては正直今作の戦犯かもしれない。
例の猫以外の動物シーンは彼女が絡んでいるのだ。
人によってはトラウマを植え付けるかもしれないのでご注意を…。
頼むから食べないで…。
ギャグ要素はいつも通り攻めていたのでよいでしょう。
ジェイムズ・コーデン
大好きな米国バラエティ(?)番組「レイトレイトショー」のホストであり、
最近では『ピーターラビット』の声などを担当して映画出演も積極的なおデブさん。
ただ彼のコミカルな演技シーンはそれこそ番組内の再現コメディみたいに見えてしまってハマれなかった(笑)
イドリス・エルバ
時期ジェイムズボンドの噂も絶えない英国色男が今作でも重要なマキャヴィティを演じる。
そのミステリアスでダークな魅力とプリっプリのおしりと腰つきは男女関係なく人々とを…いや猫達を引き付けること間違いなしだ。
もちろん、顔のCGはおいておいて…
テイラー・スウィフト
誰かが「突然テイラーのPVが始まる」だなんて揶揄していたけども、
逆にいうとテイラーの猫っぷりが最も雌猫達の中では妖艶且つ美しく見えた。
もちろん全世界で知名度のあるプロのアーティストなので歌も踊りもパフォーマンスとしては一級品である。
むしろ新しい性癖に目覚めてしまいそ…ゴホンゴホン。
その他
長老猫はなぜオファーを受けたって感じのジュディ・ディンチだし
年老いた劇場猫役のイアン・マッケランの「ミャァオ」は需要がないです。
あと自分は周りの人たちにラムタムタガーっぽいと言われたので今後推していきます。
まとめ
結局思い返してみると
■歌と踊り…とても良い
■役者陣…豪華で素晴らしい
■物語 …元の舞台が映画向きじゃないだけ
■視覚効果 …担当が猫を見たことがなかった
というだけで、袋田叩きにされているほど悪い作品ではないと思う。
音楽的にも映画館で観るのをオススメします。怖いもの見たさでも
こんな人にオススメ
- 猫好き
- ミュージカル映画好きの方
- 面白い感想を思いつきたい方
おあとがよろしいようで…