キミシマムザ裕君の映画部屋

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『ハウスジャックビルド』映画レビュー「鬱監督トリアーが挑んだ新作は連続殺人鬼のの半生!」

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印象セリフ

「俺は早く芸術を創り上げたかった」

製作国:デンマーク

製作年:2018年

上映時間:155分

▼予告編▼


『ハウス・ジャック・ビルト』予告編 6/14(金)公開

はじめに…

皆さんはシリアルキラーがお好きだろうか。

エド・ゲイン、ジェフリー・ダーマー、ジョン・ゲイシー、切り裂きジャック........。

復讐や強盗が目的ではなく、殺人に喜びを感じる異常な者達。

そんなヤツらとは是非距離を置きたいものだけれども、何故か好奇心旺盛な我々は彼らのことを知りたくなってしまう。

映画や書籍、実際に彼らが書いた日記なんかを追い求めてしまう。

そろそろ終わってしまうけど東京では

「シリアルキラー展」なんて素敵な催しもやっている(行きたかった)

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さて、そして今作はそんなシリアルキラーの内面と殺人の軌跡をたっぷり11年間追いかけるトンデモ映画。

しかも欝映画量産機でお馴染みのラース・フォン・トリアー監督作品となったら見るしかねぇ!

ていうことで映画館で結構前に見てきました!

どうも、

サイコパス診断ではギリギリ一般人だった男、キミシマムザ裕君です。

さっそくレビューを!

 簡単あらすじ

 建築家を夢見るハンサムな独身の技師ジャックは、ある出来事をきっかけに、アートを創作するかのように殺人を繰り返すように。そんな彼が「ジャックの家」を建てるまでの12年間の軌跡を、5つのエピソードを通して描き出す…(映画.com引用)

感想

殺人・強迫性障害・潔癖・芸術・地獄…

カンヌ国際映画祭で途中退出者続出!!

したかと思いきや、

終演後はスタンディングオベーションが鳴りやまなかった!

という二極化した観客の反応が今作を表していると思う。

言ってしまえば、ただ男が人を殺していくだけの映画をよくここまで芸術に昇華出来だと思う。

もちろん暴力描写はとんでもなく生々しいし、女子供も容赦なく殺されていくので鑑賞には注意。

しかしそんなえげつない155分のサイコ物語なのに、敢えてコミカルに映す描写がありついつい笑ってしまうが多々。

不謹慎なのに笑えてしまうのだ。

「そんなところで笑っちゃう君たちもサイコパスの素質があるんじゃないの?」

と見透かされているようで悔しい。

作品の中にはいろんなメタファーが散りばめられており、

デヴィッド・ボウイ/Fame


David Bowie - Fame 90 (Official Video)

ボブ・ディラン/Homesick Blues


Bob Dylan - Subterranean Homesick Blues

などなど意味のある楽曲チョイスも多かった。

また、ダンテの「神曲」などの芸術品へのオマージュも数あり、

しっかりきっとしっかり調べてから観たら更に楽しめるだろう。

Matt Dillon and Bruno Ganz in The House That Jack Built (2018)

監督:ラース・フォン・トリアー

Lars von Trier in The House That Jack Built (2018)

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『メランコリア』等々

鬱映画を作らせたら右に出るものがいないデンマークの監督。

今回も刺激が強すぎる怪作を生み出したわけだが、

セリフや人物像に注視してみると、

どうにもこの主人公が監督自身を少し投影してるように見えて面白い。

彼は男性を主人公にした映画を撮るのはなんと1991年以来!

女性運動が活発になる今の時代で敢えて久しぶりに男性を主人公にする辺りが相変わらず捻くれてらっしゃる。

きっと映画監督になってなかったら彼も犯罪者になっていたのかもしれない(超失礼)

キャスト

マット・ディロン

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80年代青春映画代表のような彼が強迫性障害を持った連続殺人鬼という難しい役を素晴らしく演じていた。

元々近年はその強面と何を考えているかわからない瞳から悪役をやる機会も多かったが、今作はケタ違い。今後も彼の代表作となるだろう。

ただのカリスマ的な殺人鬼ではなく、我々の身近にいそうな庶民感も絶妙に出してくれるのが良い。

強迫性障害でなんども家に被害者の血がついてないか確認しに戻るシーンでめちゃくちゃ笑ってしまった。

ちなみにトリアー監督のリハーサルなしの撮影方法に慣れるのが大変だったらしい(笑)

ブルーノ・ガンツ

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ジャックと精神世界(?)で会話を続ける謎の老人。

彼は2019年の2月に天に召されてしまったのでこれが遺作。

キャラ設定的にもなにか縁があるとしか思えない巡り合わせである。

彼の正体に関しては以下ネタバレで

彼の正体とは…

彼はダンテの[神曲]に登場する地獄の案内人。

古代ローマの詩人ウェルギリウスのことである。

映画の冒頭=ラストで自分がジャックをずっと見ていたことを明かし、地獄に堕ちる彼を優しく手ほどきして案内してくれるのだ。

彼が地獄の最下層でいうセリフ

「君が行くのは2階ほど上だ」

というのは[神曲]内での地獄の階層のことを指しており、

ジャックは「暴力の地獄」というカテゴリに分類されるためそこに行くことになっていたらしい。ちなみに最下層は「裏切者の地獄」だそうです。みんな気を付けてね。

 

ユマ・サーマン

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「第1の殺人」に現れる憎たらしい女。

車に乗せて欲しいわりにめちゃくちゃ態度がデカいし

「あなた殺人鬼みたいね・・・怖いわっ」

と言ったかと思いきや

「小心者のあなたに殺しは無理ね、ハッ」

とディスったり殺されて当然。

顔が老け込みすぎて『パルプフィクション』の面影どころかエンドロールで自分は気付いた(笑)

ライリー・キーオ

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「第4の殺人」に出てくるおバカなブロンド美女。

『アンダーザシルバーレイク』でのミステリアスなキャラは影を潜め、おっぱい丸出しで身体を張ってブロンドバカを演じてくれます。顔面的には今作唯一の癒しポイント。

 

他にも子連れのママや初老のおばさんなど容赦なく殺され続けて目を覆うシーンばかり。

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まとめ

シリアルキラーに限らず、異常な人間への興味は尽きない。

きっと賛否両論の今作は以降も忘れられずに語り継がれることになるだろう。

そして、ジャックさんよ・・・

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こんな人にオススメ

  • ラース・フォン・トリアー監督が好きな方
  • シリアルキラーものが好きな方
  • キワモノ映画が観たい方 

おあとがよろしいようで…

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